悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
 新進気鋭の実業家なだけあって、楓は仕事が早かった。『連絡する』と言った翌々日には会社に電話があり『担当者を紹介するのでアポを』と話を進めてくれた。

 その約束の日が今日だ。鷹井AIラボの担当者が日本橋のKAMURO本社まで出向いてきてくれることになっている。初回の顔合わせになるので、こちら側の出席者は企画立案者である志桜と自分の下についている新入社の蘭だけ。もっと具体的に進めば、広報や営業の担当者にもプロジェクトに加わってもらう予定だ。

 受付から『お客さまがお着きです』との連絡を受け、志桜と蘭は一階のエントランスで彼を出迎えた。

「本日はお時間をいただき、ありがとうございます。企画担当の神室と申します」
「はじめまして! 鷹井AIラボの園村雄大です」

〝爽やか〟という単語を擬人化したような男性だった。年齢は三十歳手前、といったところだろうか。清潔感あふれる短髪に、あっさりと癖のない顔立ち。パリッとした白いシャツにスカイブルーのネクタイ、明るいグレーのスーツがとても似合っている。やや垂れ目なのが優しげな印象を与え、誰からも好かれそうなオーラがにじみ出ていた。

(う、羨ましい)
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