悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
「うちは少数精鋭なので鷹井も実務をするんですよ。新規クライアントとの初回の顔合わせには顔を出すケースも珍しくないですし」

 彼の説明に楓も軽くうなずく。

「それに、今回の企画はうちとしても期待の案件なので!」

 雄大が営業マンらしく、上手に場を盛りあげた。

「ありがとうございます」

 志桜がその言葉を言い終わらないうちに楓が口を挟む。

「前置きはいいから、本題に入ろう。まずはそちらの要望をもとにうちがまとめた資料の説明から」

 楓に促され、雄大が具体的な話を始めた。
 鷹井AIラボは平均年齢の若い会社と聞いているが、それでもまだ二十代と思われる雄大が〝営業部長〟の地位にいるのは彼が優秀だからだろう。その証拠に、彼は志桜の知りたかったデータをきっちりと出してくれ、質問にも的確な回答をくれる。
 さらに、物言いに遠慮がなさすぎるきらいのある楓のフォローも完璧だ。飴と鞭という感じで、ふたりがいいコンビなのが伝わってくる。
 なにより、他人にまったく興味・関心のなさそうな楓が雄大のことは信頼しているのが見て取れた。

「今日の時点でお伝えできる内容は以上ですね」

 雄大はデスクでトントンと資料を揃え直ながら、話を終えた。
< 41 / 226 >

この作品をシェア

pagetop