悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
志桜の制止は一歩間に合わず、彼女はもう男性向けのエリアのほうへと歩いていってしまった。彼女に連れられてやってきた楓を前に、志桜はその身を小さくする。
(彼の答えなんて聞かなくてもわかるわ。『どうでもいい』もしくは『好きにしろ』ってとこね)
だが、楓は「両方を着て、見せてもらえるか?」と意外すぎる言葉を口にした。試着室で着替えながら、志桜はくすぐったいような居心地の悪さを覚えた。
(私のドレスを彼が選ぶなんて……本当にデートみたいじゃない)
最初にブルーグレーのほう、そして今度は黒いドレスを着て志桜は彼の前に立った。
(私はどちらかといえばこっちが好きかなぁ)
身体にぴたりと沿ったマーメイドライン。膝から下に繊細なチュールのフリルがたっぷりと入っていて、足元にボリュームが出るモダンなデザインだ。
普段の自分からすると冒険的なセレクトだけれど、このブランドにしては甘さ控えめでキリッとかっこいい雰囲気が素敵だなと思った。
「ふむ」
真剣に見定めようとする楓の眼差しが刺さる。
「俺はこちらのほうがより似合っていると思う」
「そうでしょうか?」
「あぁ。君の綺麗な顔立ちは黒に映える」
(綺麗な顔立ち……)
一拍遅れてその意味を理解して、志桜はかすかに頬を染めた。
(彼の答えなんて聞かなくてもわかるわ。『どうでもいい』もしくは『好きにしろ』ってとこね)
だが、楓は「両方を着て、見せてもらえるか?」と意外すぎる言葉を口にした。試着室で着替えながら、志桜はくすぐったいような居心地の悪さを覚えた。
(私のドレスを彼が選ぶなんて……本当にデートみたいじゃない)
最初にブルーグレーのほう、そして今度は黒いドレスを着て志桜は彼の前に立った。
(私はどちらかといえばこっちが好きかなぁ)
身体にぴたりと沿ったマーメイドライン。膝から下に繊細なチュールのフリルがたっぷりと入っていて、足元にボリュームが出るモダンなデザインだ。
普段の自分からすると冒険的なセレクトだけれど、このブランドにしては甘さ控えめでキリッとかっこいい雰囲気が素敵だなと思った。
「ふむ」
真剣に見定めようとする楓の眼差しが刺さる。
「俺はこちらのほうがより似合っていると思う」
「そうでしょうか?」
「あぁ。君の綺麗な顔立ちは黒に映える」
(綺麗な顔立ち……)
一拍遅れてその意味を理解して、志桜はかすかに頬を染めた。