白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「父の家まではとりあえず普通の靴がいいかな」
「え、貴女あそこまで歩いていくつもりだったの? しかもその恰好で?」

 そう言われても、私のために出す馬車なんてないわけだし。
 歩くっていっても、すごくかかるわけでもない。
 いつもそうしているから、気にはならないんだけど。

 問題はこの恰好か。

「さすがにこの恰好じゃまずいですかね」
「物取りに襲われかねないわね」
「あー」

 お金なんて持ってないのに、持っている風よね。
 仕方ない、一旦着替えてまたもう一度……。

 マリアンヌにそう声をかけようとした瞬間、窓の外に馬車が見える。

「あれ、あの馬車って」

 私の言葉に、部屋にいた人たちはみな馬車を見た。
 
 馬車はあの役者のものに似ているような気もするが、前よりも造りが重厚で馬車の扉の部分には家紋が描かれている。

「あれは公爵家の馬車ね」
「へ? だって待ち合わせは昼過ぎだったはずなのに」
「あたしも確認しましたよ、アンリエッタ様」
「そうよね……」

 時間は何度か手紙で確認をした。
 万が一があっては困るから、ミーアにも見てもらったし。

「どうしましょうか。えええ。どうするのがいいんですかね。午前中に父との約束入れちゃったのに」

 まさか父との約束をすっぱかすわけにもいかないし、かといって公爵家を待たすわけにもいかない。

 何、この展開。
 ちょっと困るわ。

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