白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「たぶん公爵家が気をきかせて早くきただけだと思うわ。遅れる方が困るから」
「そういうもんなんですか?」
「そういうものよ」

 マリアンヌは腕を組みながら窓の外の馬車を覗く。
 確かに彼女が言うように、人が下りてくる気配はない。

 いや、だけどあの横を突っ切って父に会いに行くっていうのもなんだかなぁ。

「ついでだから寄ってってもらいなさいよ」
「は⁉」

 マリアンヌの言葉に、私は思わず素が出る。
 
「いや、さすがに公爵家ですよ?」
「まぁね。でも使用人だから大丈夫よ。状況を説明すれば。だいたい、早く来たのは向こうなんだし」
「いやいやいやいや。さすがにそんなこと言えないですよ」

 それを言うくらいなら、隠れながら突破した方がマシよ。
 伊達にあの鬼のような父の娘歴だけは長いもの、隠れるとか逃げるとかそういうのは得意なのよ。

 こっそり後ずさりして逃げようとする私の首をマリアンヌが掴む。

「えええ、離してくださいな」
「大丈夫よ、ホント変なとこで小心者なんだから。騎士団長に啖呵(たんか)切った勢いはどこよ」
「それとこれとは別です」

 抵抗しようとする私を無視し、マリアンヌは私を捕まえたまま歩き出す。
 助けを求めようにも、ミーアもにこやかに手を振っていた。

 え、あ、え?
 この組み合わせで外になんて出て大丈夫かしら。

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