白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。

35 父の思惑を超えて

 自分の足で歩くと片道三十分くらいだろうか。
 そんな実家までの道を、馬車だとたった五分ほどで到着してしまった。

 公爵家の馬車が商会の前に横付けされると、何事がおきたのかとわらわらと使用人たちが不安げな顔で出てきた。

 そして遠巻きに馬車を見つめている。

 裏に停めてもらう方が良かったんだけど、さすがに公爵家の馬車を裏に案内するわけにもいかないし。
 
「つきましたよ、お嬢様」

 御者のエスコートで私が下りると、なぜか感嘆(かんたん)の声が上がった。

「あ、アンリエッタ様……」

 こんな格好をしているせいか、みんな変な顔するわね。
 いつもならもっと距離感だって近いのに。

 いくら結婚して貴族となったからといって、私自身は何も変わっていないのに。

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