白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「ここで少し待っていただいても大丈夫かしら」
「もちろんです、お嬢様。お時間までお待ちいたします」
「ありがとう」

 使用人や下の者には敬語は使わない。
 貴族としてのマナーはまだ全然分からないけど、マリアンヌからそれだけは気を付けるように言われてきた。

 それをやってしまうと、使用人まで困らせちゃうって。
 最低限これだけは気を付けなきゃね。

「あ、アンリエッタ様」

 遠巻きで見ていた商会の使用人たちに、私は尋ねた。

「お父様と昼に会う約束をしてあったんだけど。今、執務室かしら」
「はい。中にいらっしゃるはずです」
「そう。ありがとう」

 少し時間は早いけど、せっかちなあの人のことだもの。
 早い分には問題ないわね。

 私は集まった使用人たちに軽く手を振ると、勝手知ったるとばかりに一人執務室へ向かった。

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