白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 まさかこんなとこで鉢合わせするなんて思わなかったわ。
 公爵家の馬車は見られていないはずだけど、詮索されても困るから警戒しなきゃ。

「今日は実家に一度戻ったあと、父の紹介で少し出かけていました」
「ふーん。相手は貴族かな?」

 そう言いながらダミアンはゆっくり階段を下りてくる。
 その表情は明らかに私の行動を疑っているようだった。

 まさか浮気を疑っているとは思わないけど、この人は自分にやましいことがあるから余計に私の行動が気になるのかもしれないわね。

「ええ、そうですね。商会の新しい取引先ということで紹介されました」
「そいつの身分は?」
「私はお飾りとして出席しただけなので、あれですが。確か子爵様だったかと」

 ニカが、だけどね。
 まさか公爵家に単独で行ったなんて絶対に言えないし。

「ふうん。君でもそんなマトモな格好をするとマシに見えるもんだな」

 近づいてきたダミアンは、私の肩に触れた。
 そして上から下まで、撫でまわすように私を見ている。

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