白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 でもあながちミーアの言っていることは間違っていないのかもしれない。
 着飾った途端に手を出されそうになったぐらいだもの。

 ボロイ服装で、見た目が隠れていただけって感じかな。
 急にドレスなんて着たから、ダミアンは自分と同じ位置にいる女性のように私を見たのかもしれない。

「もう着飾るのは懲り懲りね」

 ミーアの肩を借り、私はゆっくりと自室へ歩き出す。
 視界の端に、転がったお菓子の包みが見えた。

 放り投げられた包みは、くしゃりと変形してしまっている。
 中はきっと、見なくても原型をとどめてはいないだろう。

 あの不思議な食感のお菓子は、柔らかかったものね。

「あー。せっかくのお土産だったのになぁ」
「もう。今はそれどころではないでしょうに!」
「でも美味しかったのよ? だからみんなに持って帰りたくてお願いしたの」
「まったくアンリエッタ様は……」

 ますます顔を歪めて泣くミーアの腕をぽんぽんとさすりながら、私たちはお菓子の包みを拾い部屋に戻った。
< 158 / 236 >

この作品をシェア

pagetop