白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「確かにビックリね。そういうこと言わない人だから」
「そうなんですか?」
「ええ。微笑むこともないような堅物で有名よ」
「ふぇー」

 なんかいっぱい微笑んでくれていたけどなぁ。
 褒めてももらえたし。すごく感じよかったのに。
 普通は違うのかしらね。

 あー、私のコト仕事相手だとでも思ったのかもしれないわね。
 それなら分かるわ。
 あの父だって、仕事モードの時はちょっとは愛想いいし。

「それよりも、痛むでしょう」
「少しは~ですよ。別に激痛というわけではありません」
「でも」
「気にし過ぎです。マリアンヌ様が私のために演技をして下さったって、ちゃんと分かってますから」

 私の言葉になぜかまたマリアンヌの表情が暗くなる。
 そんな彼女の顔を私はのぞき込んだ。

「演技だけじゃないわ。あの時、なんか本当に腹が立ってしまって……気づいたらあなたを押し倒していたの」
「そうなんですね」
「だけどやった後に、すぐに酷いことをしたって。もっとやりようがあったんじゃないかって」

 この人は結局、どこまでいっても優しい人なのだと思う。
 私と父によって奪われた立場なのに。
 もっと本当なら怒ってもいいはずなのに。

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