白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「では、また何かあったら知らせてちょうだい」

 そう言って自室へ戻ろうとした私を、侍女が引きとめる。

「あの」
「ん? どうかした?」
「いつぞやは、不躾な質問を投げかけてしまい申し訳ございませんでした」

 どこまでも深く頭を下げる彼女に、私はふっと微笑む。
 あんなこと、まだ気にしていたんだ。

 こっちはすぐに忘れてしまったというのに。

「いいのよ。マリアンヌ様のために言いたかったことでしょう。私も気にしてません」
「ですが……貴族の、しかも奥様に言うべき言葉では」
「元平民だし、気にしないわ。それに間違ったことを言ったわけでも、侮辱したわけでもない。だから大丈夫よ」
「……はい。本当に申しわけごさいませんでした」

 頭を下げる彼女の肩をぽんぽんと叩くと、私は部屋に戻った。
  
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