白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 あと少し、もう少し。
 しかし目の前に来たその時、ふといろんなことが頭をよぎる。

 振り返れば、ねずみたちとの距離はさほどない。
 縄はしごは地上まで数十段。
 登り切るには、慣れていても数分かかる。

「ダメだ。間に合わない」

 そう、間に合わない。
 二人登り切る前に、きっと奴らが足元に届く。
 そうなってしまえば、このはしごすら危うい。

「先に登って」

 それしか考えられなかった。
 少なくとも、私よりも慣れていないこの子が昇る方が時間がかかるだろう。
 私が先に登ってしまえば、この子は確実に奴らの餌食だ。

 それでは助けた意味がない。
 私がここに残るしかないわね……。

< 212 / 236 >

この作品をシェア

pagetop