白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「でも!」
「いいからとっとと登って! 私だって死にたくないの」

 私の圧に押されたのか、言いかけた言葉を飲み込むと、その子は縄はしごを登り出す。
 半分くらい登りかけた時、ねずみたちはすぐ目の前まで到達した。

 怖い。こんなに近くまで来られたことなどなかった。
 ねずみと呼ぶにはその体は大きく、爪も尻尾も鋭い。
 大きな個体では、私の腰の位置くらいまであるものもいた。

 だけど薬玉はあと一個。
 ギリギリまで引き付けないと。

 迫りくるねずみたちの手が届く瞬間、私は自分の口元を押さえながら薬玉を足元近くに落とす。
 すると音と匂いでねずみたちは後退していく。

 私は落としたその瞬間から、縄はしごに手をかけ勢いよく登り始めた。
 先に登った子は出口に到着し、私に手を差し伸べながらこちらを心配そうに見ている。

 急がなきゃ。
 興奮状態のねずみたちには、いくら薬玉といえど効果は薄い。
 きっと数分ももたないはずだ。

 焦り揺れるはしごを必死に登る。
 あと数段というところで、はしごが揺れた。

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