白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 だから入れないことはない。
 だけど誰も好き好んであんな薄暗く、臭い場所になどは入りたがる人などいない。

 でももし、何かの手違いであそこから落ちて迷い込んでしまっていたのなら、うちの責任になったりするのかしら。

 それこそお父様にバレたら、食事抜きぐらいじゃ済まされないし。

「地下がたまたま開いてて……」

 バツが悪そうに、彼は私から視線をそらす。

「落ちたの?」
「……そうじゃなくて。昨日、父さんと喧嘩して……」
「入ったの?」
「俺が強いって証明したくて」

「は? 父親と喧嘩して、自分の実力を証明するために、ねずみに挑んだってこと?」
「本当にごめん。こんなことになるなんて思わなかったんだ。父さんが俺はまだまだ弱いから騎士団になんて入れられないって言うから、どうしても実力を示したくて」
「馬鹿じゃないの⁉」

 貴族相手に言ってはいけない言葉だとは思いつつも、感情と共にそんな言葉が口から洩れてしまっていた。
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