白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「無理だって! 俺のせいだから、俺が……」
「おぼっちゃま!」

 彼の声を遮るように、遠くから声が聞こえる。
 どうやら屋敷から抜け出したこの子を探しにきた人たちのようだ。

「迎えだ! 行こう、君を運んでもらうよ」

 彼はそう言いながら、私に手を差し出した。
 
 私はその綺麗な手をジッと見る。

 この手を掴むことは簡単だ。
 ただ掴んでしまえばいい。

 本当はきっと歩けないくらい酷い傷だし、家に帰っても治療してもらえるかも分からない。
 それならこの手を取って、彼の家で治療してもらうべきなのだろう。

 だってこの傷は彼を助けて出来たものだから。
 きっと治療ぐらいで、文句は言われないはず。

 命の恩人だもの。
 だけど、だけど……。

< 222 / 236 >

この作品をシェア

pagetop