白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 もしそんなことをしてもらったら、その先に父がこの子の家に対して何をするかなんて簡単に想像が出来る。

 これが感じの悪い貴族の子だったら、やってもらえばいい、父が慰謝料をふっかけたって、私の知ったことではないって思えたのだろうけど。

 この子に対しては、嫌だなって思ってしまった。

「おぼっちゃま、こんなとこにいらしたのですか!」

 護衛の騎士なのだろうか。
 鎧を着た大柄の男が、私たちに近づいてきた。

「地下に入ってしまって、それでこの子が怪我を……」

 彼の言葉に驚きつつも、騎士は私を見た。
 すると私を見た騎士は驚き、目を見開く。

「その髪、ダントレット商会の……」
「ダントレット?」
「おまえ、何が目的でおぼっちゃまに近づいた」

 警戒するように、男の子の前に騎士が出て来る。
 まぁ、いつも通りの反応だ。
 うちの悪名を知らない人など、この国にはいない。

 そんな悪が、自分の仕える家の子に手を出したって思ったのだろう。
 それが事実であろうとなかろうと、きっと関係ないのだ。

 それくらいうちは、全ての人にとって悪なのだから。

「別に何も。地下に落ちたようなので、地上に届けただけ。むしろそちらが貴族の子が地下に入らない様に監督すべきでは?」
「なんだと!」
「地上までわざわざ届けましたし、こちらに落ち度はないかと」

 私の言葉に、騎士は益々顔を赤くさせる。
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