白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「そんなに熱っぽい感じは自分でもしないんですが……」
「無理はダメよ。ミーアに何かあったら、本当に困るんだから。本当に何もないの?」
「あー。ただちょっと、どこかにぶつけたのか、あざが出来ちゃって。それが少し痛むから、睡眠不足なだけですよ」

 ミーアはただ困ったように、それでも私を安心させようと笑っていた。

 このセリフに、この流れ。
 忘れたくても、忘れられない。そう、あの時と同じだ。

 前回はこの言葉を、この屋敷ではなく実家の商会に戻った時にミーアから聞いた。
 
 ミーアはいつもの軽い怪我のようなものだって。
 特に問題はないって。私も彼女の言葉を疑うこともなかった。
 だってあそこでは怪我なんて日常茶飯事だから。

 だけどその数週間度、私の元に入ったのはミーアが亡くなったという連絡だった。

 あの時はまだ、誰一人知らなかったのだ。
 そんな症状の感染症があることなど。

「ミーア、あざは腕?」
「え、ああ。そうですけど……」
「見せてくれる?」
「え、ですが」
「いいからお願い。すごく大事なことなの!」

 ミーアにしてみれば、私の行動はすごく不審なものだろう。
 だけど確認しないわけにはいかなかった。

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