白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「見ても、綺麗なものじゃないですよ?」

 ミーアは少し考えたあと、お仕着せの長いブラウスの袖をゆっくりと捲った。
 その腕には、まだ小さくもしっかりと赤いバラによく似たあざが浮かび上がっている。
 
 全身から血の気が引いていくようだった。
 グラグラとする足元。

 だた必死に息を飲み、私は痛いほど鳴り響く胸を押さえた。

 大丈夫、まだ大丈夫。
 全身にまで広がっていないし、末期症状じゃない。

 だけど前回よりもずっと早い。
 バラ病が始まるのは、少なくともあと一年くらい先のはず。

 だからあのバラの苗を手に入れれば、身近な人たちだけは助けられると思っていたのに。
 過去と今が変わってしまった影響が、こんなとこにも出てきてしまったんだわ。

 今ある花からバラの実が出来るまでにはまだ時間がかかる。
 それなら先に隣国から手に入れないと、前回と同じことになってしまうわ。

 国内で手に入れるより、向こうから取り寄せた方が早いし、幸いまだ誰もこの病を知らない。
 前回みたいに買占めや転売によって高額になってしまう前に、手に入れなきゃ。

 私はゆっくりと言葉を選びながら、ミーアに現状を伝えることにした。
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