白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「アンリエッタ様、いいですか?」

 使用人の一人がノックと共に入室してくる。
 その手には、うちの商会の封蝋が押された手紙があった。

「ありがとう」

 使用人から受け取ると、すぐに中身を確認する。
 色よい返事とまではいかなくとも、私は父が断らないだろうことはあらかじめ予測していた。

 ああ、安定に分かりやすい人ね。
 急なお願いごとにかなりご立腹ではあるものの、父は私との面会をすぐに引き受けてくれていた。
 
 あの人にとっては大した金額にならなくても、お金はお金だものね。
 でもいいきっかけだわ。
 その金で自滅することになるんだから。

 私はこの先の未来を思い浮かべ、嬉しくなる。
 自分でも性格悪いなって思うけど、まぁ、あの父の娘だものね。
 
 これでもまだマシに育った方だと自分でも思うわ。

「お手紙大丈夫ですか?」

 一人笑う私に、使用人がおずおずと声をかける。
 明らかに変な人にしか見えなかったのだろう。

 引いてないだけマシというレベルだ。

「ええ、大丈夫よ。ありがとう。今からすぐ商会に顔を出すから、旦那様たちには使用人も私も熱を出してうつすといけないからと伝えておいて」
「はい。了解しましたー」

 先ほどまでの不信感はなく、元気よく使用人が部屋を飛び出す。
 これがなければ本当にいい子なんだけどなぁと思いつつも、私は急いで身支度をした。
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