白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「他の貴族の奥様たちは、ボクたちに無理強いばかりさせるんですよ」
「まぁ。あなたにそんなにひどいことをさせるの?」

「はい……。でも断ったら、劇団の運営から手を引くと脅されていて……」
「それはかわいそうに。貴方はこんなにも頑張っているというのに、ひどい人たちだわ」

 開いた口がふさがらないとは、こういうことを言うのね。

 相手の顔を見ていないから何とも言えないけど、二人の会話はどこまでも甘く感じる。

 やや悲しそうに、それでいて相手のふところに入り込むような若い男の子の声は、遠くで聞いている私でさえ耳障がいい。

 さすが役者といった感じね。演技が上手すぎるわ。
 これはきっと簡単に落ちるのもうなずける。

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