白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「そう言ってくださるのは奥様だけです。だからボクはこうして奥様の膝枕(ひざまくら)をしてもらってる時間が一番幸せなんですよ」
「本当に貴方は可愛いわねぇ」
「ぶっ」

「だ、ダメですよ、アンリエッタ様。大きな音を立てたら、バレちゃいますよ」
「分かってる、分かってるけど」

 そう小さくミーアたちに言葉を返したものの、許されるのならば大声で笑い出したい気分だった。

 あんなに私に対して辛辣(しんらつ)な姑という存在は、どこに消えてしまったというのかしら。

 だいたい膝枕?

 若い役者を捕まえて膝枕してるって、普通に考えてどんな状況よ。

 こんなこと、あの人……ダミアンは知っているのかしら。
 自分の母親が若い役者に入れあげてるだなんて。

 あー、でも自分のことがあるから強く言えないのかもしれないわね。

 棚に上げて、どの口が言うんだってなるし。
 そう考えると、似たモノ親子ね。

 やだやだ。
 なんで私、こんなとこに嫁いできたのかしら。

 ちょっと難があるって言ってはいたけど、これは全然ちょっとじゃないでしょうに。
< 53 / 236 >

この作品をシェア

pagetop