白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 ひとまず追いかけてみるしかないわね。
 私はかぶっていたフードがめくれないように、さらに深くかぶる。

 そしてワンピースのスカートのすそがなびくのも気にすることなく、全力かつ気づかれないように距離を保って走り出す。

 馬車って前方にしか人がいないから、こういう時は気づかれなくて便利よね。

 にしても、人が走って追いつける速さではないけど。
 体力には十分自信があったものの、街中を何区間分か走るとすでに息が上がってしまっていた。

 膝に手をつき、私は肩で息をする。額からは汗が流れ落ちた。
 もー、無理。走って追いかけるのはやはり限界ね。

 馬車はさらに街の奥へと進んで行くのだけが見えた。
 
「でもあっちの方向って、貴族のお屋敷はないんじゃないかな」

 街道とも貴族の屋敷がある方向とも違う道を、馬車はぐんぐんと進んで行く後姿だけが見える。

 あきらかにこの先は貧民街であり、普通の人が踏み込んではいけない領域だ。

 ここ帝都はたしかに他の都市などよりかなり発展しているものの、裏に入ってしまえばまた世界はガラリと変わる。

 父に着いて何度か行ったことはあるけど、裏ギルドなど危ない組織が貧民街の奥に隠れているのだと教えられた。

 もっともあの父にかかれば、貴族であっても裏ギルドであっても大差ないらしいけど。
 あの人はすべてにおいて、規格外(きかくがい)というかちょっとおかしいからね。

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