白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 マトモな仕事だけであの人がここまで稼いでいるわけがない。
 いつだってその後ろには、ああいった怪しい連中が見え隠れしている気がする。

 もっとも彼らにとっても、父みたいな人は邪魔な存在かもしれないけどね。

「でも困ったわね。そうなると、私一人ではどうにもならないし」

 父の手を借りるにはお金が必要になるだろうし。
 もしあの売れない役者がそっち系な人だったら、迂闊(うかつ)に手を出せなくなるわね。

「もー。頭が痛い問題ばかり増えていかないでよ」

 一つずつ片づけていきたかったのに、誤算(ごさん)だわ。

 まぁいいわ。あの役者は後回しね。
 先に愛人をどうにかする方が早そう。

「疲れた、お腹空いた。はぁ。なんて日なの、今日は」

 どんだくたびれ儲けだわ。
 私は遠くにかすむ馬車を一瞥(いちべつ)したあと、元来た道を一人引き返した。
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