白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 そしてその先頭にいる騎士と、視線がぶつかる。

 黒い髪に赤い瞳。
 私より頭一つ分高いダミアンよりも、さらに背が高く、ガタイのいい男性だった。
 ガチムチという言葉があるなら、まさにそれだ。

 他の騎士たちよりも、上にも横にも大きく感じる。

 なぜかな。この人を見るのは初めてではない気がする。
 どこかで……いつだったか、私は彼を見た気がした。

 その騎士は私のすぐ近くまで来ると、大きな剣を抜きはなった。
 私は恐ろしさのあまり、声すら上げられず頭を押さえてその場にしゃがみ込む。

「逃がすな!」

 騎士たちはしゃがみ込んだ私を避けるように、その後ろへと走って行く。

「な、なに⁉」

 私は地面に膝をつき、()いつくばりながら、やっとの思いで後ろを振り返った。

 騎士たちの前には、大きさが子どもくらいあるサイズの、でっぷりとした灰色のネズミたちが数匹いる。

 ネズミたちは大きな齧歯(げっし)をむき出しにし、長い尻尾をピンと立てこちらを威嚇(いかく)するように見ていた。

 あきらかにその姿は、こちらに攻撃を仕掛ける前段階のようだった。

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