白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 私も言い過ぎたって思うから、いいのに。

 確かに薬玉がなくなったのは困るけど、別にまた実家から盗んでくればいいだけだし。

「地下の清掃を決めた上の者には、ダントレット商会へ戻すように進言しておく」
「……では、もし永劫的にまかせていただけるのなら、一割ほど値引きしますとお伝えください。私も出過ぎた真似をしました。申し訳ございませんでした」

 深々と頭を下げ、私はその場を離れた。
 そしてお目当てだった串焼き屋へと向かう。

 ああ、髪出しちゃってた。
 もしかして売ってくれないかしら。

 前からそういうことはあった。
 嫌がらせではないけど、うちの名前のせいで、入店禁止のところもあるし。

「あ、あの串焼き……」

 店主に声をかけると、今まで見たコトもないような愛想のよい声が返ってくる。

「三本だったね、お嬢ちゃん」
「え、ええ」
「ほら、焼けてるよ」
「ありがとうございます、いくらですか?」
「いや、いいさ。これはお礼だ。あのままあそこでネズミたちが暴れてたら商売どころじゃなかったからな」

 気前のよい店主はそう言いながら、焼きたての串を渡してくれた。

 今ままでこんな風に誰かにお礼なんて言われたこともなかったから、どこまでも胸がいっぱいになる。

「ふふふ。こちらこそ、ありがとう」

 串焼きを手に歩き始めると、他にも広場の商人たちから声をかけられる。

 花に野菜、果物。
 その上、小さな髪飾りまで。

 私はたくさんのお土産をもらい、どこまでも幸せな一日を噛みしめながら屋敷へと帰った。
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