白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 嫌味なつもりはなかったんだけど、貴族式に言うと、こういうのも嫌味になるのかしら。

 でもこれはどういう展開なのかしら。
 前回では一度だって愛人様の顔を見たことも、会話したこともなかったっていうのに。

 なんでマリアンヌはわざわざ私の部屋に尋ねてきたの?

 全然分からないわ。
 何かが変わったってことなのかしら。

「まったく……貴女も貴女の父親も最悪ね。嫌いだわ」

 マリアンヌはやや動揺する私を気にすることなく、うんざりした顔で吐き捨てた。

 感情をあらわにする辺り、彼女もあまり貴族っぽくはない気がする。
 でも嫌いという言葉は、私にも言えることなのよ。

 一回目の人生ではあなたに熱を上げたダミアンのせいで、捨て置かれて金貨一枚すら出してもらえずに死んだのだから。

 ただ夫を愛してなどいないし、興味すらないから嫌うまでもいかないのが現実ね。

 マリアンヌは大きくため息をついたかと思うと、ずかずかと私の部屋に入ってくる。
 そして勧められたワケでもないのに、そのままソファーへと腰かけた。

「今日はここへなにをなさりにいらしたのですか? まさか私と父を重ねて嫌味を言いに来たわけではないですよね」

 嫌味を言うだけだったら、わざわざこんな人目をさけて深夜になんて来なくたっていいはず。

 だって彼女はあの人の最愛なのだから。

「……アタシのモノになるはずだったのに」

 ややうつむきながら、マリアンヌはぽつりともらした。
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