白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 それなら……前だって自分から動いてさえいれば、もう少し未来は変わっていたのかな。

 そんなこと、もう全てが想像でしかないけれど。
 少なくとも目の前にいる必死な表情のマリアンヌは、敵ではなかったのかもしれない。

「もしかしてですが、この男爵家が私が嫁ぐよりも前に傾いていたのってマリアンヌ様のせいだったりするのですか?」
「そうね。潰すまではいかないにしても、この男爵家が傾くようにずっと仕向けてきたわ。没落してしまえば、彼はもうどこにも行けなくなるもの」

「でもそんなことしたら、ご実家である子爵家にはお二人の結婚を反対されるのではないのですか?」

 もしこの男爵家がこれほどまでに困窮(こんきゅう)していなければ、マリアンヌは普通にダミアンと結婚出来たんじゃないかしら。

 それなら本末転倒過ぎるでしょう。もう少しやりようがあった気もするんだけど。

「アタシはね、貴族なんてどうでもいいの。苦しくてもひもじくても、彼さえいれば他に何もいらない。だから家なんて関係ないの。それにもとより、素行《そこう》の良くない彼との結婚はずっと反対されいて、実家とは絶縁状態だし」
「……」
「だいたい彼はこんなことがなきゃ、誰かを選んだりして結婚するような誠実(せいじつ)な人でもないのよ」

 ぽたぽたと頬を伝う涙は、綺麗だった。
< 83 / 236 >

この作品をシェア

pagetop