白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「ダミアン様の守備範囲って、そんなに広いんですか? 私みたいなのでもいいくらいに」

 真面目な顔で尋ねた私を、マリアンヌは声を上げて笑い出した。

「貴女、自分のコトまったく分かってないのね。まぁ、着飾ってはないからそんな気がするだろうけど。貴女も結構美人よ」
「は⁉」
「なんでそんな顔するのよ、褒めてるのに」

「いやだって、そんなこと言われたこともないですし。だいたい、私は平民ですよ?」
「あのね、貴族だって平民だって顔のつくりなんてどっちも一緒でしょ」
「それはまぁ、そうかもしれませんが」

 そうか。美人顔になるんだ、私も。
 なんか変な感じ。見た目とか褒められたことないし。

 でも不思議と、こんなにも美人なマリアンヌに言われても、嫌味だとかお世辞だとかそんな風には思えなかった。

 むしろこんな会話ですら、どこか心地よい。
 初めに感じたマリアンヌへの嫌悪感など、もうどこにもなかった。

「あ!」
「な、なに急に」

 大声を上げた私に、マリアンヌが驚いたように体をのけぞらせる。

「いや、これが友だちなのかなって思って」
「はぁ? 嫌よ、あの人の妻である貴女と友だちだなんて」
「ダメですか?」

「……考えておいてあげるわ。あの人に手を出さないならね」
「あ、それは全然興味ないんで」
「それはそれで失礼よ」

 そう言いながらも、マリアンヌは満更でもない顔をしていた。

 敵を味方につけてまでも欲しいくらいの恋が、いつか私にもできるのだろうかと思いながら、私はマリアンヌと手を組んだ。
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