白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 考えてても仕方ない。
 明日もまだ屋敷の掃除は恐ろしいほどある。
 こんな暗い日は読書も出来ないし、早く寝てしまおう。

 そう思いながらベッドへ向かう私の視線の端で、窓のカーテンがゆらりと揺れた。

「窓、開いていたかしら」

 開けた覚えなどない窓。
 この部屋の掃除は誰にも頼んでいないから、開くわけがないんだけど。

 もしかして壊れたとか?
 過去でも壊れた記憶はなかったはずだけど……。

 窓枠に手をかけようとしたその瞬間、首に冷たいモノが当たる。
 
「!」

 振り返ることも動くことも出来ない。
 ランプの光でうっすら窓に反射するのは黒い男と、その男が持ったナイフが私の首に当てられていたことだけだった。

 しかし不思議とその男からは殺意は感じられない。

< 96 / 236 >

この作品をシェア

pagetop