白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「まさか貴族たちを騙していたのが闇ギルドの関係者だとは思わなかったわ」
「そんなこと知ってどうするの?」

 喉につき付けられたナイフが皮膚に少し食い込む。
 このまま彼が横にナイフを引けば、私の喉はかき切られてしまうだろう。

「別に?」
「は?」

 私の答えに驚いたのか、彼はナイフを持つ手を緩めた。
 
「お茶でも飲む?」

 彼が緩めたナイフに手をかけ、押しのけると私は振り返った。
 黒い装束を身につけ顔を隠す彼の表情は読めない。

「あははっはははは。自分を殺しに来たヤツにお茶を進めるヤツなんて初めてみたよ」
「よく言うわ。殺しに来たんじゃなくて、脅しにきただけじゃない」

 腹を抱えて笑う彼をしり目に、テーブルにお茶の用意をした。

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