破滅エンドしかないモブの娘に転生してしまったけど、父があまりにも優男だったので案外悪くはない。
「こんなところまでどうしたんですか、お嬢様。確か、部屋で大人しくしているようにお願いしたはずですが?」

 音もなくオーウェンが私の後ろに立っていた。

「わぁ!」

 心の底から驚き、私はのけぞる。
 その勢いで、床に尻もちをついた。

 扉が開いたのも、入ってきたのも全然気づかなかった。

 さすが獣人ってことなのかしら。
 この世界では希少種族であり、人などよりもかなり強い存在だ。

 本来ならば薄給通り越し、ほぼ無給のうちで働くべきような人ではない。
 だけどそれをただ昔の恩だけで、こなしているような人なのだ。

「ビックリした。驚かせないでよ、オーウェン」
「勝手に言いつけを守らず、ここにいるからですよ。それで、今度は何をなさっていたんですか?」

 オーウェンはそう言いながら、私に手を差し出す。
 私はその手を掴み、立ち上がった。

 その表情からは感情はあまり読み取れない。
 パパのことになると結構表情豊かなんだけど、興味がないこととか人にはほぼ無表情よね。

 ある意味分かりやすくてビックリだわ。

「別に悪さなんてしていないわよ。パパに会いに来たんだけど。まだお部屋?」

 二人一緒に戻ってくると思ったのに、意外だわ。

「それが日ごろの疲れなのか、池の中に落ちたせいなのか、やはり熱が上がってきてしまったようで」

 その言葉と視線にはトゲがある。
 分かってるわよ。私のせいだって言いたいんでしょう。

 言っておくけどね。
 一応は六歳児なんだから、もうちょっと言い方ってものがあると思うんだけど。

 オーウェンにしてみたら、大事なのはパパであって私じゃないのは分かるけどさぁ。

「お医者様は……呼べるわけないか」
「ですね」

 私の言葉にオーウェンもため息をついた。
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