破滅エンドしかないモブの娘に転生してしまったけど、父があまりにも優男だったので案外悪くはない。
 ノックのあと、返事を確認しないまま私は執務室へ入る。
 いつもならばまだいる時間の父たちは、ここにはいなかった。

「んー? パパ、まだお風呂かな」

 さっきまで私のせいでずぶ濡れだったもんね。
 十分あり得るわ。

 パパの部屋に押し掛けちゃってもいいけど、さすがにもう昔みたいにお風呂場まで覗く気にはなれない。

 中身がもうなぁ。
 結構な歳だし?
 今まで通りの六歳児つき通すの難しいよね。

 絶対どこかでボロは出る。
 でもパパには何となく知られたくないし困ったな。

 意味もなく私は執務室の中を歩き回る。
 執務室は私の部屋以上に、何もない。

 ただすり切れたような木製の机には、書類が山積みになっているだけ。

「古い机よね。椅子なんてクッションの一つもないし」

 パパはいつもこの机で仕事をしている。
 腰、悪くなりそう。
 病弱なんだし、仕事環境はちゃんとした方がいいと思うのに。

 それすら出来ないほど困窮しているってことよね。
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