破滅エンドしかないモブの娘に転生してしまったけど、父があまりにも優男だったので案外悪くはない。
 今の家計状況では、医者なんて高級な人を呼べる余裕なんてない。

 だいたい食べるものだって、庭の花たちを全部野菜に植え替えてしまって生き延びているくらいだもの。

 またに食卓に並ぶ肉だって、彼が森で狩猟してきてくれることも知っている。

 本当にどこまでいっても働けど~なのよね、この家。

「でもただの風邪だって思って、死んでしまうことだってあるのに」

 そうぽつりと漏らせば、オーウェンは悲痛そうに顔を歪ませた。
 
 私、アイリーンの母は初め風邪と診断された。
 風邪ならばそのまま安静にしているというママの言葉を飲んだ私たちは、ママに付き添った。
 
 しかし何日経っても、熱も下がらず状態も良くならず。
 
 肺炎か何かだったのだろう。
 ママはそのまま治ることなく、息を引き取ってしまった。

 もっとちゃんと医者にかかれていたら。
 あの時たくさんのお金があったら。
 結果は何か変わったかもしれない。

 それは今回のパパの件でも同じだろう。

「自分がお金を稼いできます」
「まったく、それでは何の解決にもならないでしょう。一時しのぎをしたところで、意味がないのよ」

 ただ呆れる私を、オーウェンはマジマジと見ていた。

「お嬢様、何か変わられましたか? 形容しがたくて申し訳ないのですが、何かこう……」
「んー。死にかけたからかも?」
「は? ヒトは死にかけると、変化する生き物でしたっけ?」
「たぶん、そうなんじゃない? 知らないけど。でも、今はそれよりも、私に協力してほしいの」

 私はニタリと笑う。
 その不気味さからか、オーウェンはやや顔を引きつらせていた。
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