破滅エンドしかないモブの娘に転生してしまったけど、父があまりにも優男だったので案外悪くはない。
 何度、鏡の前で回転してみても、その向こう側に写る私も同じように動くだけ。
 変な顔をしても、顔を隠し指の隙間から覗き見ても、同じように動くだけ。

 それはそう。
 これは単なる鏡でしかないのだから。

 だけどどうしても確かめずにはいられず、いらない時間をかなり費やしてしまった。

「いやさぁ、分かってたよ? 私は一回死んで、アイリーンとして生まれ変わったってことでしょう?」

 別に前世に未練があるわけではない。
 死んだ原因とかは気になるし、私が死んだことでお父さんが悲劇の主人公張りに扱われるのは癪だけど。

 でも少なくとも、もう死んで六年以上経ったってことだろうし。
 今更あがいたって、どうしようもない。

 むしろあの環境から抜け出せたんだから、普通で考えればラッキーよね。

「普通で考えれば、ね……。だけど! なんでよりによってこのキャラなのよ! 最低だ。神様はどこだ! もうヤダよ。ノーぉぉぉぉぉぉ」

 私は一人叫びながら頭を抱えしゃがみ込んだ。

 アイリーンと言うキャラは確かに可愛い。
 サーモンピンクの髪もルビーのように赤い瞳も、成長すれば美人になる。

 色も白くて細く……まぁ、貧乏すぎてただの栄養失調ともいうけど、この世界の美人基準にはガッチリとハマっているし。

 見た目だけなら、私も好きなキャラだ。

「見た目こんなにヒロインっぽいのに、なんで悪役側のモブになんて転生しちゃうかなぁ」
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