雨の闖入者 The Best BondS-2
「諮ったわね、ジスト」
エナの目が強い光を宿した。
「頭のいい女性は好きだよ」
ナイフを投げられた直後とは思えない軽口でジストは事実上エナの懸念を肯定した。
「なにも隠す必要はなかったでしょ? 何故、隠してたの」
思いっきり睨みつけるが、ジストは空っ惚けた顔を崩さない。
「いつ何処で隠したかな? だからジストさんは言ったでしょ、気がすすまないって。選んだのはエナちゃんだよ?」
その言葉にエナは押し黙る。
「……」
返答に詰まったエナにジストは笑いかけた。
「ほらね」
「ちょい待てコラ! 二人で何の話をしてやがる?!」
ようやくゼルが話を割るが、二人はそれを歯牙にもかけずに会話を続ける。
「選ばされたって表現の方が正しい気がするんだけど? 情報屋より詐欺師の方が性に合ってるんじゃない?」
テーブルに肘をつき、指を絡めたエナは皮肉を込めた笑顔。
「あらかじめ全部言ってたら、エナちゃんは別の選択をしてた?」
してないだろう、とでも言いたげな言い方にエナは嘆息して指を解く。
「まあ、ね。その点では、あたしの性格、深く理解してくれてるんだと思うことにするわ」
でも、とエナは続ける。
「このあたしを諮ったことに変わりない。それなりの報復は覚悟してもらうから」
睨みつけるエナの視線に、ジストは両腕で自らの肩を抱き、おお怖い、と漏らした。
勿論、いつもの演技の一環だ。
「エナちゃんの報復は避けたいな。命がいくつあっても足りないからね。だからさ、代わりと言っちゃなんだけど、報酬はエナちゃんが決めていいよ」
ジストの提案に今の今まで鬼の形相をしていたエナはものの見事に手のひらを返した。
「よし、許す」
ジストの思惑を理解したからこそ、だ。
エナの目が強い光を宿した。
「頭のいい女性は好きだよ」
ナイフを投げられた直後とは思えない軽口でジストは事実上エナの懸念を肯定した。
「なにも隠す必要はなかったでしょ? 何故、隠してたの」
思いっきり睨みつけるが、ジストは空っ惚けた顔を崩さない。
「いつ何処で隠したかな? だからジストさんは言ったでしょ、気がすすまないって。選んだのはエナちゃんだよ?」
その言葉にエナは押し黙る。
「……」
返答に詰まったエナにジストは笑いかけた。
「ほらね」
「ちょい待てコラ! 二人で何の話をしてやがる?!」
ようやくゼルが話を割るが、二人はそれを歯牙にもかけずに会話を続ける。
「選ばされたって表現の方が正しい気がするんだけど? 情報屋より詐欺師の方が性に合ってるんじゃない?」
テーブルに肘をつき、指を絡めたエナは皮肉を込めた笑顔。
「あらかじめ全部言ってたら、エナちゃんは別の選択をしてた?」
してないだろう、とでも言いたげな言い方にエナは嘆息して指を解く。
「まあ、ね。その点では、あたしの性格、深く理解してくれてるんだと思うことにするわ」
でも、とエナは続ける。
「このあたしを諮ったことに変わりない。それなりの報復は覚悟してもらうから」
睨みつけるエナの視線に、ジストは両腕で自らの肩を抱き、おお怖い、と漏らした。
勿論、いつもの演技の一環だ。
「エナちゃんの報復は避けたいな。命がいくつあっても足りないからね。だからさ、代わりと言っちゃなんだけど、報酬はエナちゃんが決めていいよ」
ジストの提案に今の今まで鬼の形相をしていたエナはものの見事に手のひらを返した。
「よし、許す」
ジストの思惑を理解したからこそ、だ。