雨の闖入者 The Best BondS-2
「つまりアレだなっ? ジストの仕事に巻き込まれたってコトだなっ?」
結構身も蓋もない言い方だが、それが事実だ。
ジストとしては女の依頼しか請けないと豪語している以上、請けるつもりなどなかったのだろう。
だから、エナに託した。
エナが他の町の港から渡ると決めていたならば、この仕事には関わらずに済んだのだろう。
その選択権をジストは確かに与えてくれていた。
全ての情報を与えなかったという遣り方で。
「そゆこと。んで、報酬なんだけど……まず話、聞くわ」
説明を終えたエナはくるりと体を半回転させて家主のイェンへと声を放った。
やっと話す機会が巡ってきたイェンは「はい!」と大きく頷いて、揉み手をしながら話し出した。
家主の話によると、この港町ユーノはもう一ヶ月もの間、雨が止むことなく降り続けているという。
それからというもの、不気味な音の風が吹くようになり、悪夢に苛まれるようになったという。
「……悪夢?」
エナが首を傾げる。
悪夢と呼べるような夢を見たことが無い――もしくは覚えていない――エナは心底不思議そうだった。
「はい。眠っても悪夢に苛まれて目覚め、眠るのが怖くなり、このままでは体も心もまいってしまいます。此処のところ、その悪夢がより鮮明になってきているんです。その原因をつきとめて、なんとかしてください。お願いします」
切実な目で頭を深々と下げ懇願するイェンにゼルが溜め息で応えた。
「っつーかよ、原因の手がかりも無いっつーのに、どうしろってんだよ? 祈祷師に頼んだ方がいいんじゃねえの?」
「ええ、最初は何か悪いものでも取り憑いているのかと思い、頼んだんです。お祓いを。ですが、どうもそうじゃなかった。三日三晩、雨の中で祈りを捧げていただきましたが、雨は一向に降り止まないし、悪夢も消えない。」
祈祷というものを余り信じていないエナは肩を竦めた。
世の中には勿論、高名な祈祷師やら呪術師なる者が存在するが、
そのほとんどがペテン師だ。
どうせ、祈祷師の名ばかりを騙った男でも雇ったのだろう。
結構身も蓋もない言い方だが、それが事実だ。
ジストとしては女の依頼しか請けないと豪語している以上、請けるつもりなどなかったのだろう。
だから、エナに託した。
エナが他の町の港から渡ると決めていたならば、この仕事には関わらずに済んだのだろう。
その選択権をジストは確かに与えてくれていた。
全ての情報を与えなかったという遣り方で。
「そゆこと。んで、報酬なんだけど……まず話、聞くわ」
説明を終えたエナはくるりと体を半回転させて家主のイェンへと声を放った。
やっと話す機会が巡ってきたイェンは「はい!」と大きく頷いて、揉み手をしながら話し出した。
家主の話によると、この港町ユーノはもう一ヶ月もの間、雨が止むことなく降り続けているという。
それからというもの、不気味な音の風が吹くようになり、悪夢に苛まれるようになったという。
「……悪夢?」
エナが首を傾げる。
悪夢と呼べるような夢を見たことが無い――もしくは覚えていない――エナは心底不思議そうだった。
「はい。眠っても悪夢に苛まれて目覚め、眠るのが怖くなり、このままでは体も心もまいってしまいます。此処のところ、その悪夢がより鮮明になってきているんです。その原因をつきとめて、なんとかしてください。お願いします」
切実な目で頭を深々と下げ懇願するイェンにゼルが溜め息で応えた。
「っつーかよ、原因の手がかりも無いっつーのに、どうしろってんだよ? 祈祷師に頼んだ方がいいんじゃねえの?」
「ええ、最初は何か悪いものでも取り憑いているのかと思い、頼んだんです。お祓いを。ですが、どうもそうじゃなかった。三日三晩、雨の中で祈りを捧げていただきましたが、雨は一向に降り止まないし、悪夢も消えない。」
祈祷というものを余り信じていないエナは肩を竦めた。
世の中には勿論、高名な祈祷師やら呪術師なる者が存在するが、
そのほとんどがペテン師だ。
どうせ、祈祷師の名ばかりを騙った男でも雇ったのだろう。