吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 単刀直入に訊ねると、祖母は紅茶のカップを持ち上げ、ひと口飲み込んだ。そして「ある」と断言する。

「と言っても。寿命はさして変わらないかもしれない。けれど、あるにはある」
「……どういう意味?」

 彼女の口ぶりにおのずと眉が寄る。

「たったひとつ。アタシたちが“人間に生まれ変わる(・・・・・・・・・)方法”がある」
「……えっ!」

 大袈裟に目を見張り、思わず口があいた。若干、前のめりになり、質問を重ねる。

「に、人間になることができるの?? どうやって??」

 綺麗に整えたまつ毛を伏せて、祖母がゆっくりと首を振った。

「詳しい方法は知らない。けど、絶対条件は……“処女である事”」

 処女。つまり、男を知らない、性行為をしたことのない女性のことだ。

 だからか、と内心で悟った。昨夜、祖母は言った。貞操はちゃんと守れ、と。

 この先、白翔との恋に溺れ、処女でなくなると、人間に生まれ変われる手段を失くしてしまう。彼女はそれを危惧して助言した。

 そして同時に気づくことがあり、深緋はうろたえた瞳で祖母を見た。

「……ああ。アタシはもう駄目だよ。そんなもんはとっくの昔に捨てちまった」

 悲愴感などまるで無い様子で、祖母がからりと笑う。

 深緋同様、伝承の女の子になっている彼女は、もう何十年も前に出産を経験している。ゆえに深緋が存在するのだ。
< 100 / 339 >

この作品をシェア

pagetop