吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 しかしそれも束の間のことで、やがて深緋に目を向けると、「おはよう」と嬉しそうに微笑んだ。

 *

 午前中は課題をやりながら過ごした。常日頃から昼夜逆転生活をする祖母が起きるのは、大体いつも午後三時を回った時間帯だ。

 深緋は彼女が起きるのを見計らい、部屋の扉をノックした。ややもして返事がある。

「おはよう、リリーさん。昨日言ってたことで……ちょっと話がしたいんだけど」

 寝起きから色気たっぷりの祖母は、ウーンと伸びをし、リビングで待つよう促した。

 ソファーに座って待っていると、目の前のローテーブルに赤いグラスが置かれた。スグルくんが「どうぞ」と言って穏やかに微笑んでいる。

「ありがとう」

 大好きなトマトジュースを手に取り、喉を潤す。程なくしてリビングの扉が開いた。

 顔を洗うついでに化粧をした祖母が、いつもの定位置の斜向かいに座った。

「話っていうのは、昨日言った打開策のことだね?」
「……うん」

 スグルくんがタイミングを見計らい、祖母の手前に紅茶のカップを置いた。彼女が「ありがとう」と顔を上げると、「二階に行ってるね」と言って天井を指差した。リビングの扉が静かに閉ざされる。

「あの伝承では……恋をしたら死ぬ運命だと言われてるけど。なにか生き残る方法があるの?」
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