吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
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 採血キットが届いてからは、白翔からの吸血がグッと楽になった。彼と会い、直に味わってから素早く少量の血を抜き、冷蔵庫で保管する。ただ、採血したものはある程度鮮度が落ちるので、どうしても風味は損なわれてしまう。それだけは仕方ない。贅沢は言えないのだ。

 練習試合を明日に控えた今日。部活帰りに寄ってくれた白翔に「少し歩かない?」と言って散歩に誘った。なんとなく外で話がしたくなって、近所の公園まで日傘を差して歩いた。

 傘の持ち手をギュッと握りしめた両手に目を落とし、深緋は重い口を開いた。

「……ねぇ、白翔」

 彼が目だけで、なに? と反応する。

「私にもし、秘密があるとしたら……白翔はそれを知りたいって思う?」
「え」

 すぐそばに公園への入り口が見える。先に足を止めた白翔に倣って、深緋も立ち止まる。木々の間を風が縫い、ザザザ、と葉を揺らした。

 白翔は不安そうに眉を寄せていた。口を開けては閉じてを繰り返し、言葉に窮している。

「秘密、あるの?」

 有るのか無いのかの問いに、深緋はあっさりと嘘をつく。

「ううん、もしもの話」
「……もしも?」
「うん。私がだれにも言えない秘密を抱えてるとしたら……白翔はそれを知りたいって思う? それとも、秘密にしてるんだったら知らないでおこうって考える?」
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