吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
『……リリーさん。私、明日の朝谷に行く』
『谷って。この間話した奥多摩にある女人の谷のことかい?』
心臓がドンとバウンドし、一気に鳥肌が立つ。
『うん。採血で週二に抑えてると言っても、これ以上白翔の記憶がうやむやになるのも嫌だし……谷へ行って方法を探ったら。ちゃんと全てを話そうと思う』
『……そうか。気をつけて行くんだよ?』
『うん。白翔は連れて行けないから、もしかしたら私が帰るまでに家へ来るかもしれないけど。そのときは上手く言って誤魔化してね?』
『わかった。それじゃあそろそろ、ハクトを起こしてやりな?』
『うん』
ボイスメモの録音はそこで途切れていた。
深緋は動揺を隠せず、歯をカチカチと鳴らした。寒くもないのに全身の血が凍ったようだった。指先が震え、白翔の顔がまともに見れない。
「これ。この間深緋が……晩ご飯に誘ってくれたときに録音したんだ」
真っ青な顔できゅっと唇を結ぶ深緋を見て、「勝手なことして、ごめん」と白翔が続けた。
「なんでって思うかもしれないけど。ずっと疑問に思ってた。
俺の意識がなくなるのも、記憶が途切れ途切れになるのも。決まって深緋と一緒にいるときだし。深緋が俺になにかしてるのかもしれないって、疑うようになって……」
「……そう」
もはや言い逃れの余地もなく、深緋はふぅー、と長い息を吐き出した。そうしないと震えが収まらないような気がした。
『谷って。この間話した奥多摩にある女人の谷のことかい?』
心臓がドンとバウンドし、一気に鳥肌が立つ。
『うん。採血で週二に抑えてると言っても、これ以上白翔の記憶がうやむやになるのも嫌だし……谷へ行って方法を探ったら。ちゃんと全てを話そうと思う』
『……そうか。気をつけて行くんだよ?』
『うん。白翔は連れて行けないから、もしかしたら私が帰るまでに家へ来るかもしれないけど。そのときは上手く言って誤魔化してね?』
『わかった。それじゃあそろそろ、ハクトを起こしてやりな?』
『うん』
ボイスメモの録音はそこで途切れていた。
深緋は動揺を隠せず、歯をカチカチと鳴らした。寒くもないのに全身の血が凍ったようだった。指先が震え、白翔の顔がまともに見れない。
「これ。この間深緋が……晩ご飯に誘ってくれたときに録音したんだ」
真っ青な顔できゅっと唇を結ぶ深緋を見て、「勝手なことして、ごめん」と白翔が続けた。
「なんでって思うかもしれないけど。ずっと疑問に思ってた。
俺の意識がなくなるのも、記憶が途切れ途切れになるのも。決まって深緋と一緒にいるときだし。深緋が俺になにかしてるのかもしれないって、疑うようになって……」
「……そう」
もはや言い逃れの余地もなく、深緋はふぅー、と長い息を吐き出した。そうしないと震えが収まらないような気がした。