吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
「深緋が隠そうとしてたのに、無理やり探るような真似してごめん。……けど。気になったらどうしようもなくて」

 白翔が罪悪感を感じる必要なんてない。そう思ったら視界がじわっと滲み、涙が溢れ出た。顔を両手で覆い、首を横に振っていた。

「深緋が行こうとしてるニョニンの谷ってなに? この場所のことなんだろ? なんで俺とは一緒に行けないの? サイケツとかシュウニとか、どういう意味?」

 顔を覆った手を下げて、拳を握りしめた。キュッと下唇を噛む。白翔の質問にはなにひとつ答えられなかった。

 思えば最初に足止めをされた日。白翔は狙ったように深緋の前に現れた。ジョギングだと言って、深緋の格好を見て一緒に行きたいと言った。次の機会には、部活に行ったと見せかけてから、忘れ物をしたと言って戻って来た。

 不自然すぎるあの足止めは邪魔をするためのものじゃない。録音したボイスメモを聞いて、深緋から直接行き先を聞き出したかったのだ。

「……ごめん」

 枯れ枝や落ち葉ばかりの地面を見つめ、振り絞るように言った。

「ごめんなさい」

 苦しげに顔を歪めた深緋を覗き込み、白翔が眉をひそめる。

「俺。別に怒ってないよ」
「……うん。でも。今までずっと言えずにいたから。ごめんなさい」
「……深緋」
「ちゃんと話す。ここで目的を果たしたら全部話すから。だから……っ、お願い! 今日のところはこのまま帰って?」
「え」
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