吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
「ほんとほんと、おろしてるのも可愛いけど、アップも超絶似合うもんねぇ」
「そ、そうかな。ありがとう」

 愛の力か。確かにそうかもしれない。

 白翔に恋をしてからというもの、自分らしくない自分をたびたび発見する。柄にもなく、嫉妬で熱くなったり、声を上げて笑ったり、人通りのある路上で愛を叫んだり。

 白翔の存在が大きくなるにつれて、外での表情の露出が目立つようになっていた。

 初めての恋愛に戸惑いを隠せない深緋を見て、ミカとモモコは喜んでいた。二人に言わせれば、以前から他人と距離をおく深緋が気掛かりで仕方なかったらしい。もっと仲良くなりたいけれど、迷惑かもしれない、そんなジレンマを、実は抱えていたと言う。

 女人谷での儀式が成功すれば、もう高校生活を繰り返すことはない。今の学校で最後とし、このまま人間として(・・・・・)やっていけるのなら、他人とのコミュニケーションは必要不可欠。いい加減友達ぐらい作ってもいいはずだ。

 人間になれるのなら。

 そうして九月も日に日に過ぎ去り、カレンダーを減らしていく。

 夏と秋が隣り合わせのこの時期は、朝と夜こそ涼やかで爽快な風が吹く。

 秋雨前線の影響で今日は全国的に雨が降るらしいが、深緋が暮らす地では残暑ですよと言わんばかりに、太陽がお目見えだ。
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