吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 白翔は怒りから顔をしかめ、グッと拳を握りしめた。その手に深緋が手を載せる。駄目だよ、と目で伝えると、白翔は観念したように息を吐き、「すいません」と渋々口にした。

「ハクトくんの言う通り、確かに吸血した。ドラキュラのこの体に本家の血を入れたら、メリットが増すんじゃないかと思って」
「メリットが?」
「そう。結果、ビンゴだった。今となってはショートスリーパーだし、怪我をしても吸血で治っちゃう。なんとなく体にも若々しさを感じるんだよね」

 彼が嬉しそうに変化を語れば語るほど、深緋と白翔の顔色が悪くなる。自己修復作用が、織田にも身についている。これには驚くしかなかった。

 少し経ってから店員が入室した。三つのドリンクを並べ、一礼をして去って行く。

 運ばれたグラスを手前に寄せて、そばにあるストローの封を切る。グラスに挿すとカランと氷の音が鳴った。

 織田は冷たいコーヒーにバニラアイスをのせたクリームコーヒーを飲んでいた。見掛けによらず、甘党らしい。チラ、と目だけを動かし、ストローから赤いジュースを吸う。

「それじゃあ本題に入ろうか」と言い、織田が率直に尋ねた。

「どうして俺の血が必要なの?」

 深緋は少しだけ思案し、覚悟を決めた。やはりそれを答えないことには交渉に踏み切れないと思った。

「人間になるために、必要なんです」
「人間になる。それは……この絵本に書いてあった悲劇が理由?」
< 205 / 339 >

この作品をシェア

pagetop