吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
『……警察の調べによると、遺体は死後一ヶ月が経過していると見られ、身元については未だ調査中です。なお、遺体の様子から、これまでに続いた三件の猟奇殺人事件との関連性も含めて……』

 死後一ヶ月……。今日から遡れば、ちょうどお盆の辺りだ。発見された四人目は、炎天下のなかでさぞかし腐敗が進み、あの写真からは(・・・・・・・)想像もつかない姿になっていただろう。

 白翔は黙りこくったままでキュッと唇を結んでいた。言葉にしなくとも、わかる。彼が同じことを考えているのが。

 織田 将吾だ。あいつが遺棄した四人目の被害者が発見されたのだ。

 *

 翌朝の早朝。深緋は赤いデイパックを背負い、奥多摩へのルートを辿っていた。電車に揺られながら、祖母にメッセージを打つ。生き残れる可能性を探しに再度谷へ行くことと、今日中には帰れるから待ってて欲しい、と書いて送信する。

 本当なら顔を見て直接伝えたかったのだが。今朝目が覚めたとき、家に祖母の姿はなく、深緋ただひとりだった。

 一度歩いたことのある道は、予想以上に早く深緋の足を進めた。石造りの門と鉄製の柵を前にし、「すみません」と声を掛けた。すると前回同様に、門番の女性が現れた。

「おや?」と言って眉をひそめた彼女は、この間見た女性と同じ人なのだろう。前回と比べると格段に若い。今日かもしくは昨日に血を飲んでいて、上限姿になっていると予想した。深緋より少し上の、二十歳(はたち)ぐらいに見える。
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