吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
「あんた、この間の」
「はい。ひと月ほど前に来ました。朝比奈 深緋と言います。村長(むらおさ)のカムイさまに折り入ってご相談があるために参りました。カムイさまはご在宅でしょうか?」
「ああ、いるよ。丁度本殿(ほんでん)(こも)ってるだろうから、暫し待たれよ」

 そう言って少しの間、待たされる。通信手段を用いて中と連絡を取り合っていると思われた。

「それじゃあ合言葉を言いな?」と門番が改めて尋ねる。例の言葉を口にし、鉄製の柵が上がった。

 門番女性は深緋の周辺に視線を漂わせ、「今回はひとりなんだねぇ」とつまらなさそうにぼやいた。

 村の女性の案内に従って、村本館まで歩き、同じく板の間に通された。ここまでに顔を合わせた女性、全てが若返っていた。ということは、おそらく彼女も。

「失礼します」と声を掛け、開かれた扉から中に入る。板の間を歩き、その姿を見て目を見張った。

 上座にはカムイさんと思われる小柄な少女(・・)が胡座を組んで座っていた。予想していたより、ずっと若い。

 彼女の上限姿は深緋より数歳下に見え、外見で言えばまだ十二、三歳だろう。

 ポニーテールにした漆黒の髪と白い肌、切長の目と赤い唇を見て、可愛いという印象を受けた。

「お久しぶりです」と一礼し、深緋は上座から幾らか距離を空けて座った。
< 219 / 339 >

この作品をシェア

pagetop