吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 何故かはわからないが、ザワザワと嫌な胸騒ぎがした。晴れて顔を覗かせたと思った太陽が、たちまち暗雲に覆われたように。

 しっかり封が為された手紙を持ったまま、一度リビングへと戻り、ハサミを使って封を切る。中に収まった三つ折りの紙を恐る恐る開き、目を通した。

【 ——深緋へ。

 あたしの予想が正しければ、きっと谷から帰ってすぐにこれを見つけているだろうね。

 あたしの携帯に電話しただろ? 悪いけどスマホは置いて行くよ。これは今月末で解約するよう手続きしてあるから、そのまま放置しておいて大丈夫だよ。

 長い間、一緒に暮らしてきた家族なのにこんな手紙なんかで別れを済ませちまってごめんね。

 深緋があたしのためにわざわざ奥多摩にまで足を運んでくれた事、嬉しかったよ。収穫はあったかい?

 きっと手ぶらで帰る子じゃないから何かしら見つけたかもしれないねぇ。

 でも、ごめんね。本当にごめんなさい。

 あたしはね、(すぐる)にもしもの事があったらひっそりと家を出て行こうって、もうずっと前から決めてたんだ。
 それは(すぐる)にも言ってある。英と死に別れる事があったら、多分数日でそっちに行くから待ってて欲しいって。

 あの子は怒って反対してたけどね。そういう運命なんだから仕方ないよね。

 それを承知で恋をしたんだ。深緋には駄目だって散々言ってきたのにね、馬鹿なおばあちゃんでごめんね。
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