吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 深緋は彼女に駆け寄り、地面に膝を着いた。途端に、寄り集まっていた鳩たちが迷惑そうに鳴き声を上げて、バサバサと羽を広げた。

 二人の再会を邪魔しないようにと、少し後ろで白翔が見守っている。

「良かった、ここに居てくれて良かったっ!」

 涙ぐんだ声で言いながら祖母の手を取り、両手で包み込んだ。見上げると、祖母は眉を下げて悲しそうに微笑んでいた。

 四十代後半に老けても祖母の美しさは健在だ。少しシワが見える程度で体型も変わらないし、美魔女と形容するにふさわしい。

 既に緩み切った涙腺は、容易く深緋の瞳を濡らした。

「私ね、谷へ行ってリリーさんが生き残れるかもしれない方法を聞いてきたの。
 谷で一番偉い人が言うにはね、輸血で血を摂取すれば良いって。私たちのことを知ったお医者さんがいるから、口利きしてくれるって。
 だから、リリーさんっ。一緒に帰ろうよ? 私はまたリリーさんと暮らしたい!」

 (せき)を切ったように想いを告げると、祖母は微笑みを絶やさず、「やれやれ」と呟いた。

「手紙に探さなくてもいいと書いておくべきだったねぇ」
「……え」

 慈愛に満ちた瞳を見つめ、表情が固まる。彼女が言った言葉の意味を思案する。
< 235 / 339 >

この作品をシェア

pagetop