吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
葉から移した容器を幾らか掲げて振るのだが、三度目の容器の色は変わらない。血、そのものの液体を先ほどとは別の桝に移し変え、女性に手渡し、深緋の手に運ばれる。
桝に唇を寄せると香しい血の香りが鼻腔をくすぐった。瞬時に分かってしまう。これは白翔の血だ。
ほんの少量の血を喉へと流し込み、甘い口当たりに酔いしれる。今まで何度となく彼の血を飲んできたが、今のは格別の美味さだった。
ほう、と息をついた時。じわじわと温まっていた胃から全身に熱が送られる。驚きのあまり呼吸が狂う。
心臓から送り出される血液が、ものの数秒で手足までを駆け巡り、循環する。
儀式を始める前の寒さなど、今となっては微塵も感じなかった。
何となく目の前が明るくなったような気がして、深緋は両手を掲げた。体の表面が微かに光りを放っている。
変化に戸惑い、対面するカムイさんに目を向けた。
彼女は銀の箸で月桂樹の葉を掴み、三枚ともをキャンドルの灯火に焼べていた。そして祭壇に並べたお札を一纏めにし、両手の平に載せて、始まりと同じように一礼をした。
その頃、深緋の体から光が消える。
「これにて儀式を終了する」
そう静かに述べ、カムイさんは手を仰いでキャンドルの火を消した。顔を上げた彼女の瞳は元通りの漆黒を取り戻していた。
桝に唇を寄せると香しい血の香りが鼻腔をくすぐった。瞬時に分かってしまう。これは白翔の血だ。
ほんの少量の血を喉へと流し込み、甘い口当たりに酔いしれる。今まで何度となく彼の血を飲んできたが、今のは格別の美味さだった。
ほう、と息をついた時。じわじわと温まっていた胃から全身に熱が送られる。驚きのあまり呼吸が狂う。
心臓から送り出される血液が、ものの数秒で手足までを駆け巡り、循環する。
儀式を始める前の寒さなど、今となっては微塵も感じなかった。
何となく目の前が明るくなったような気がして、深緋は両手を掲げた。体の表面が微かに光りを放っている。
変化に戸惑い、対面するカムイさんに目を向けた。
彼女は銀の箸で月桂樹の葉を掴み、三枚ともをキャンドルの灯火に焼べていた。そして祭壇に並べたお札を一纏めにし、両手の平に載せて、始まりと同じように一礼をした。
その頃、深緋の体から光が消える。
「これにて儀式を終了する」
そう静かに述べ、カムイさんは手を仰いでキャンドルの火を消した。顔を上げた彼女の瞳は元通りの漆黒を取り戻していた。