吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 心配そうに顔色を窺う彼の懐に、素早く飛び込んだ。

「——み、」

 深緋と発音するより早く、背伸びをして、白翔の首元に手を掛ける。

 その日。深緋は初めて同級生から血を吸った。

 口内に溜まった赤い液体(ジュース)を舌で味わい、喉の奥に流し込んだ。

 え。

驚きと当惑が混在して、呼吸が狂う。思わず牙を離していた。

 うそ、なにこれ……。

 鼻から抜ける甘美な香りと、まろやかな口当たり。自らの吸血のせいで白翔の足から力が抜け、意識を失っているという現実に邪魔をされるが。

 これこそまさに極上のひと口と舌で認識していた。

 こんなに甘くて美味しい血、初めて飲んだ。

 地面にへたり込んだ彼を支えて、とりあえずはゆっくりと寝かせる。

 今口にした血をもっと味わいたいと欲が膨らみ、唇をペロリと舐める。

 これが運命のハニーブラッド、なのだろうか……?

 生唾を飲み込み、ゴクリと喉が鳴る。白翔の首筋に目を据えた。

 もっと欲しい、もっと味わいたい、こんなのじゃ足りない。もっと、もっと、もっと……!

「……あっ、」

 不意に割り込むスマホのバイブレーションが、深緋を正気へと呼び戻した。液晶を見るとスグルくんからで、すぐさま回線を繋ぐ。タイムリミットを過ぎたことから心配して電話を掛けてきたそうだ。

 それから先は、スグルくんを呼び出し、倒れた白翔を家まで運んでもらった。

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