吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
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深緋が吸血をしたことで、白翔の記憶はごっそりと抜け落ちただろう。
それでもあの場に倒れていた疑問は残る。
あの時間に、偶然通りかかった白翔は、部活仲間と遊んだ帰りだと言っていたから、その帰り道で不審者か何かに襲われたのではないか、と念のためひとつの可能性を植え付けておいた。
殺人鬼の織田 将吾については、既に匿名で通報を入れていた。そばに落ちたアイスピックから、逮捕されているのを願うばかりだ。
デジタル時計が九時半を過ぎようとしたところで、白翔は居間を出て行った。
玄関口で、「また明日」と手を振るものの、深緋は動揺を隠せない。あの甘美な血の味が脳にこびりついて離れない。
『同級生からは血を貰わない』、この自分だけのルールを破ったわけだが、罪悪感より、また吸いたいという欲が圧倒的に勝っていた。
二階の自室にこもり、ベッドに潜り込んだ。
いつも提げている真鍮のロケットペンダントがシャラっと流れてベッドに落ちる。
そばにある間接照明を点けて、ペンダントの蓋を開けた。深緋とよく似た若い女性が、幸せそうに微笑んでいる。
祖母の話では、もう何十年も前に亡くなった、たった一人の母親らしいが。全く記憶にない。
キュッと眉を寄せてから、再び楕円型の蓋を閉じた。
*
翌朝。あまり眠れなかったせいか登校中にあくびを連発する。いつものように駅に着いたところで、白翔に声を掛けられた。
深緋が吸血をしたことで、白翔の記憶はごっそりと抜け落ちただろう。
それでもあの場に倒れていた疑問は残る。
あの時間に、偶然通りかかった白翔は、部活仲間と遊んだ帰りだと言っていたから、その帰り道で不審者か何かに襲われたのではないか、と念のためひとつの可能性を植え付けておいた。
殺人鬼の織田 将吾については、既に匿名で通報を入れていた。そばに落ちたアイスピックから、逮捕されているのを願うばかりだ。
デジタル時計が九時半を過ぎようとしたところで、白翔は居間を出て行った。
玄関口で、「また明日」と手を振るものの、深緋は動揺を隠せない。あの甘美な血の味が脳にこびりついて離れない。
『同級生からは血を貰わない』、この自分だけのルールを破ったわけだが、罪悪感より、また吸いたいという欲が圧倒的に勝っていた。
二階の自室にこもり、ベッドに潜り込んだ。
いつも提げている真鍮のロケットペンダントがシャラっと流れてベッドに落ちる。
そばにある間接照明を点けて、ペンダントの蓋を開けた。深緋とよく似た若い女性が、幸せそうに微笑んでいる。
祖母の話では、もう何十年も前に亡くなった、たった一人の母親らしいが。全く記憶にない。
キュッと眉を寄せてから、再び楕円型の蓋を閉じた。
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翌朝。あまり眠れなかったせいか登校中にあくびを連発する。いつものように駅に着いたところで、白翔に声を掛けられた。